宇治市、ニチコン、日産自動車 電気自動車等を活用した脱炭素及び強靭化に関する連携協定

京都府宇治市、ニチコン株式会社(子会社であるニチコン亀岡株式会社を含む)と、日産自動車株式会社、および京都日産自動車株式会社の4社は、2025年4月25日、電気自動車(EV車)とV2H(Vehicle to Home)システムの普及を通じ、市内の脱炭素化と強靭化を図ることを目的とした連携協定を締結しました。本レポートでは締結式や終了後に行われたデモンストレーションの様子をご紹介いたします。

締結式の様子

締結式は、宇治市役所で行われ、宇治市 松村淳子市長、ニチコン株式会社代表取締役社長 森克彦氏、日産自動車株式会社 西日本リージョナルセールスオフィス近畿地区グループ地域担当部長 青木基樹氏、京都日産自動車株式会社 代表取締役社長 中村正人が登壇しました。

連携協定締結に先立ち、宇治市、ニチコン株式会社、日産自動車株式会社および京都日産自動車株式会社の代表より挨拶がありました。

挨拶:宇治市 松村淳子市長

松村市長は、

「日ごろから宇治市の脱炭素化にご協力いただいていること、改めて御礼申し上げます。

昨今、自然災害の発生が頻発しており、その背景には地球温暖化の影響があると考えられます。昨年や2016年に発生した能登半島地震や熊本地震、さらには各地で多発する山火事の多くも、地球温暖化が一因となっていると言っても過言ではありません。地球温暖化をどう止めていくかは私たち行政にとっては大変大きなものと考えております。また、地球温暖化そのものを止める為には電気自動車をはじめとした脱炭素に向けた取り組みを市民の皆さんと一体となって取り組んでいくことが大変重要と考えています。

宇治市では、市民の皆さんのEV化・脱炭素の取り組みにおいての補助事業をしっかりと進めていっております。一方で災害は待ったなしで起こってきております。こういった状況の際、被害の最小化(減災)を図ることが求められます。

今回、4社による協定の締結は、脱炭素に向けた取り組みと、災害時に車両からの電力供給を通じて避難所の安心・安全を確保することを目的としています。今後も、脱炭素化にむけた市民の方々への啓発・周知を進めると供に、災害時の安心を提供していくことを皆様と共に進めていきたいと思います。」と、宇治市での脱炭素に向けたこれからの取り組みについて述べられていました。

挨拶:ニチコン株式会社 代表取締役社長 森克彦氏

続いて、ニチコン株式会社代表取締役社長の森克彦氏は、

「宇治市は松村市長の元、健康福祉・子育て支援に力を入れておられ、環境への配慮にも強く関心をお持ちです。

ニチコンは本年で創立75周年を迎えます。創立当初より電子部品を製造してきた技術を活用し、2010年に社会づくりに貢献するプロジェクトを立ち上げました。日産自動車様とは2012年にV2Hを発売し、現在第3世代を展開しています。V2Hは太陽光で発電し蓄えた電気を電気自動車に供給して走らせるという環境的な面と、災害時において電気自動車から電気を取り出して家に供給できるという面で非常に役立つ商品です。外部給電機パワームーバーは、能登の災害時でも日産の電気自動車を被災地へ送り、電気を供給しました。我々ニチコンとしても明るい未来や社会づくりに貢献していきたいです。」とニチコン株式会社のこれまでの歩みとこれからの抱負を述べられました。

挨拶:日産自動車株式会社 西日本リージョナルセールスオフィス地域担当部長 青木基樹氏

続いて、日産自動車株式会社 西日本リージョナルセールスオフィス近畿グループ地域担当部長 青木基樹氏は、

「我々日産自動車は、2010年に日産リーフをリリースして以降、日産アリア・日産サクラ・クリッパーEVと4車種の電気自動車をリリースさせてまいりました。これら4車種の累計販売数は29万台に達しております。宇治市様におかれましては、公用車として日産リーフをご購入いただき、EVならではの静粛性や、パワフルな加速を多くの皆様にご体感いただきたいと考えております。

昨今、電気自動車は身近な存在になってきたと思います。我々日産自動車は2018年に日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」と名付けまして、EVの価値を活かし自治体や企業の皆様と一緒に地域課題の解決に取り組んでおります。今回の協定で連携協定は278件目を迎えることになりました。

万が一の災害の際、EVは電気を供給するということで、走る蓄電池としてもご活用いただけます。更に資源を有効活用する取り組みをしており、再生可能エネルギーと電気自動車を組み合わせ、効率的にエネルギーを利用する「ニッサンエナジーシェア」という日産独自のエネルギーマネージメントシステムや、電気自動車のバッテリーを回収し再製品化する取り組みも進めております。」と、日産自動車株式会社全体での環境問題への取り組みを紹介されました。

挨拶:京都日産自動車株式会社 代表取締役社長 中村正人
最後に、京都日産自動車株式会社 代表取締役社長 中村正人は、

「日産の電気自動車は、“力強く楽しい走り”と“環境にやさしい”という両面から評価されており、ここ京都府においても大変好評をいただいております。

京都日産自動車では、一昨年から「地域とつながり隊」という活動をスタートいたしました。地元の皆様と一緒になって脱炭素化社会の実現、地域課題の解決に少しでもサポートしたいという想いからスタートしております。今回の協定は京都府内で5件目の連携です。

電気自動車は、大型のバッテリーを積んでいるので、万が一の災害の際にもそこから電気を取り出して使うという走るだけじゃないまさに二刀流の役割ができる優れものです。我々は地元の販売会社として宇治市さまの脱炭素化社会に向けた活動に同じ思いを持っております。

最後に、電気自動車は環境に優しいだけでなく、本来の車の性能も素晴らしく、力強くスムーズで且つとても静かです。ぜひご覧になられたい方は京都日産のお店で試乗してほしいです。」と地元京都の販売店として今後も宇治市と協力して活動していきたい想いを語られました。

4社の代表挨拶の後、協定書へ署名、記念撮影を実施。参加者より暖かな拍手があり、和やかな雰囲気に包まれました。

続いて、日産自動車株式会社より電気自動車の使い道に関する紹介動画がありました。動画内では災害時の電気自動車の派遣や音楽イベント等での電気自動車の活用が紹介され、担当者より「一人でも多くの方に電気自動車から電気の取り出し方を知ってもらいたいという想いで作りました。ニチコン様との協定締結で初お披露目となります。もしもの時に電気自動車から電力をスムーズに取り出していただけるために平時からイベントなどで蓄電池として電気自動車を活用してほしいと思っております。」と説明がありました。

給電デモの様子

締結式終了後は宇治市役所の玄関前に場所を移動し、給電デモンストレーションとフォトセッションが行われました。玄関前には日産の電気自動車である日産アリア、日産リーフ、日産サクラが並びました。更に宇治市のマスコットキャラクターである「ちはや姫」と環境省が推進するエコなアクションに特化した全国型のポイントプログラム「エコ・アクション・ポイント」の公式キャラクターである「BEAP」くんが駆け付けました。

デモンストレーションでは、ニチコン株式会社のパワームーバーを利用して、電気自動車から電気を取り出す様子を紹介。日産リーフの給電口に接続されたコードをパワームーバーに繋げ、そのパワームーバーのコンセントに扇風機を繋いで、稼働する様子を紹介しました。

このデモンストレーションを通じて万が一の災害時にも電気自動車を通じて電力供給できることが示されました。