【開催レポート】電気自動車を活用した脱炭素化及び強靭化に関する連携協定 締結式

亀岡市、ニチコン株式会社、日産自動車株式会社、および京都日産自動車株式会社の4者は、2024年4月23日、電気自動車(EV)とV2H(Vehicle to Home)システムの普及を通じ、市内の脱炭素化と強靭化を図ることを目的とした連携協定を締結しました。本レポートでは、締結式や式終了後に行われた給電デモンストレーションの様子をお届けします。

締結式の様子
締結式は、亀岡市役所地下1階にあるSDGs推進拠点「開かれたアトリエ」で行われ、亀岡市 桂川孝裕市長、ニチコン株式会社代表取締役社長 森克彦氏、日産自動車株式会社 西日本リージョナルセールスオフィス地域担当部長 青木基樹、京都日産自動車株式会社 代表取締役社長 中村正人が登壇しました。

まず開会に先立ち、司会者より協定に至る経緯及び背景をアナウンス。「亀岡市は脱炭素宣言を掲げており、2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、再生可能エネルギーの導入と利用促進を進めると共に、電力の地産地消を進めています。」と亀岡市の目指す姿を説明。続けて、「ニチコン株式会社に関しては、自立型エネルギーマネジメントシステムの構築とその普及によりエネルギーの自給自足による脱炭素社会実現を目指しています。日産自動車株式会社は、これまで培ってきた電気自動車(EV)に関するノウハウやネットワークを活かし、脱炭素化、強靭化(災害対策)の実現により社会変革を促す、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」を国内の販売会社と共に推進しています。」と、ニチコン、日産自動車双方の取り組みや協定の背景について紹介がありました。

その後、亀岡市、ニチコン株式会社、日産自動車株式会社、および京都日産自動車株式会社の4者は、電気自動車(EV)とV2Hシステムの普及を通じ、市内の脱炭素化と強靭化を図ることを目的とした連携協定を締結。4者が一丸となり目標を達成に向け共に取り組んでいく運びとなりました。

協定書への署名後は、亀岡市の観光マスコットキャラクター「明智かめまる」も駆けつけ、記念撮影を実施。和やかな雰囲気の中進行しました。

続いて、亀岡市、ニチコン株式会社、日産自動車株式会社、および京都日産自動車株式会社の4者の代表より挨拶がありました。

挨拶:亀岡市 桂川孝裕市長
桂川市長は、「今年の元旦には能登で大きな地震があり、生活インフラの重要性を痛感しました。この経験から、EVやパワー・ムーバーを活用して電気を供給する環境整備がますます大切だと感じています。電気の重要性を改めて認識する中で、この締結式を行えることは非常に意義深いです。亀岡市は環境先進都市を目指しており、『ふるさと電力』として再生可能エネルギーを積極的に利用しています。スタジアムの屋根に設置されたソーラーパネルの電力で公共施設の電力を賄いたいと考えています。さらに、今年7月には新しい環境施設がオープン予定であり、ここにニチコンの技術と日産の電気自動車を展示する計画です。今後も、未来に向けて一層の協力を進め、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。」と亀岡市のこれからをニチコン株式会社と日産自動車株式会社と取り組んでいく旨を表明されました。

挨拶:ニチコン株式会社 代表取締役社長 森克彦氏
続いて、ニチコン株式会社 代表取締役社長の森克彦氏は「ニチコンは亀岡市と長い付き合いがあり、亀岡市のご指導の下、日々貢献してまいりました。1950年の創業以来、電子部品を製造してきた技術を活用し、2010年にNECSTプロジェクトを立ち上げました。そして、2012年には日産様と共に世界初となるV2Hシステムを開発し、その後お客様の声を聞き入れながら今週には第三世代のV2Hを発表いたしました。このシステムでは、V2Hを使って電気自動車を充電するだけでなく、非常時には電気自動車に蓄えた電気を取り出して使用することができます。また、パワー・ムーバーは今年1月の能登の地震の折に、日産様が電気自動車を提供された際に使用されました。これからも環境への配慮を第一に、日産様と協力してまいります。さらに、ニチコン亀岡工場は亀岡市より臨時の避難所として認定されています。亀岡工場内では再生エネルギーの活用により、非常時の電源確保を行っています。今後も、日産自動車様と共に、亀岡市が推進する脱炭素社会に向けて事業を展開していきたいと考えております。」と、ニチコン株式会社と亀岡市、日産自動車株式会社とのこれまでの歩みと今後の目標を述べられていました。

挨拶:日産自動車株式会社 西日本リージョナルセールスオフィス地域担当部長 青木基樹
続いて、日産自動車株式会社 西日本リージョナルセールスオフィス地域担当部長 青木基樹は、「私たち日産自動車は、2010年に電気自動車日産リーフの発売を開始し、その後SUVタイプの日産アリア、軽タイプの日産サクラ、そして軽商用タイプの日産クリッパーEVを発売しました。これら4車種を合わせて累計国内販売台数は25万台以上に達しています。また、2018年5月には電気自動車を活用して脱炭素化と強靭化を図る『日本電動化アクションブルー・スイッチ』を掲げ、地域社会に貢献するために日本各地で自治体や企業と共に様々な取り組みを行っています。本日もこの協定でブルー・スイッチ連携としては205件目となります。電気自動車は環境に優しい車であるだけでなく、災害時には走る蓄電池としても機能します。また、再生可能エネルギーを電気自動車で移動可能な蓄電池としてエネルギーを供給する『ニッサンエナジーシェア』を2月に発表し、ますます社会にとって重要な役割を担う存在になると考えています。最後に、我々日産の電気自動車が脱炭素社会の実現と災害に強い街づくりに貢献できるよう、亀岡市さんと取り組んでまいりたいと思います。」と、日産の技術を今後もっと発展させ、社会貢献に尽力することを伝えられました。

挨拶:京都日産自動車株式会社 代表取締役社長 中村正人
続いて、京都日産株式会社 代表取締役社長 中村正人は、「日産は2010年から電気自動車日産リーフを販売しており、ここ京都においても大変好評をいただいております。乗っていただくとすぐにわかるように、非常に力強い加速、そして静かな走行音が特徴で、多くのお客様から高い評価をいただいております。日産の電気自動車は、エネルギーマネジメントができる点でも優れており、移動手段としてだけでなく、大容量バッテリー蓄電池としての価値もある非常に画期的な製品です。電気自動車の普及を通じて、亀岡市のカーボンニュートラル活動に貢献したいと考えています。また、災害時にもお役に立ちたいと思っております。万が一の災害時には、亀岡市にある京都日産亀岡大井北店、亀岡大井南店にある電気自動車を使ったサポート活動をしていきたいと考えています。亀岡市様、ニチコン株式会社様と共に、脱炭素社会の実現、そして地域への社会貢献を進めてまいりたいと考えております。」と、これから亀岡市の脱炭素化と災害対策に力を合わせていくことを改めて強く宣言されていました。

4者の挨拶の後、質疑応答の時間もあり、参加されていた記者から質問がありました。

質問:亀岡市のEVの普及率はどのくらいか?
京都日産の中村正人は、「全国的なEV普及率は約2%ですが、京都府内における普及率は1%台前半とされています。その中で、日産の電気自動車は市場の約7割を占めています。」と、日産の電気自動車(EV)の普及率の高さをアピールしていました。また、桂川市長が「亀岡市の公用車のうち約1割がEV車です。今年度、新たに3台を購入しています。」とそれに付け加える形で回答されました。

質問:EVを増やしていくために必要なことはなにか?
桂川市長より「充電スポットを増やすこと。亀岡市は、電気自動車の充電スポットを増やす計画を進めており、もう間もなく市役所等に充電スポットを設置する予定。今後は、他の大きな公共施設にも設置していく予定です。」と、電気自動車(EV)に関する取組について言及されました。

給電デモの様子
締結式終了後は亀岡市役所の玄関前に場所を移動し、給電デモンストレーションとフォトセッションが行われました。玄関前には日産の電気自動車である日産アリア、日産リーフ、日産サクラが並びました。

デモンストレーションでは、ニチコン株式会社のパワー・ムーバーを使用して、電気自動車から電力を取り出す様子を紹介。日産アリアの給電口に接続されたコードをパワー・ムーバーに繋げ、そのパワー・ムーバーのコンセントに扇風機や携帯電話の充電器、湯沸かしポットを差し込むと、それぞれの家電が動き出しました。このデモンストレーションを通じて、電気自動車が非常時やイベントなどでの実用的な電力供給手段として活用できることが示されました。